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西谷 敏(大阪市立大学名誉教授)
私の専門はドイツの労働法ですが、初めてドイツに留学した1975年当時、いろいろ驚きがあった中の一つが、本屋に行くと、「法律入門」というような本が山積みとなっていて、普通の市民が当たり前に買っていたこと、また、日常会話でも法律のことがでてくる場面に、法文化の違いを感じたことです。
日本に欠けているのは、こうした法文化ではないでしょうか。例えば大学の法学部では、リーガルマインド(法律の実際の適用に必要な柔軟かつ的確な判断力)を身に着けさせることを目標としていますが、うまくいっていません。私は、そうした問題とこのワークルール検定がうまく結びつけばいいなと思っています。ワークルール検定という試験は、入り口としては有効な手段だと思いますが、リーガルマインドを涵養していくという視点が大切ではないか、そういう立場から啓発・推進に努力してみたいと思います。