中 級
合格発表(中級:2022年11月)
正解発表(中級:2022年11月)
解 答
Q1 | 1;2;3 | Q2 | 2;3 | Q3 | 1;2 | Q4 | 3 | Q5 | 3 | Q6 | 2;4 | Q7 | 4 | Q8 | 2 | Q9 | 1;2;3;4 | Q10 | 4 | Q11 | 1;2;3;4 | Q12 | 2 | Q13 | 3 | Q14 | 3 | Q15 | 4 | Q16 | 3 | Q17 | 3 | Q18 | 4 | Q19 | 3 | Q20 | 4 | Q21 | 1 | Q22 | 4 | Q23 | 1 | Q24 | 4 | Q25 | 4 | Q26 | 4 | Q27 | 1 | Q28 | 4 | Q29 | 3 | Q30 | 2 |
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解 説
2022年11月27日に実施した中級検定において,正答率が低かった問題について以下のとおり解説します。
今後の学習の参考としてください。
- Q9労働協約と就業規則の法的性格について、誤っているものをすべて選びなさい。
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- 労働協約も就業規則も、労働組合との合意に基づく。
- 労働協約も就業規則も、全従業員の労働条件を定めている。
- 労働協約も就業規則も、常に労働契約に優先して適用される。
- 労働協約も就業規則も、不利益変更にあたっては条文上合理性が必要とされる。
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正解(誤っているもの)は1~4すべて、正解率は5%でした。〔1•2•3=53%、 1•3=16%など〕
労働協約と就業規則の法的性格について、誤っているものをすべて選びなさい、という問題ですが、正解者が極端に少なく、出題者としてショックを受けています。1は、就業規則は労働組合との合意に基づくものではないので、また、2は、労働協約は原則として組合員のみの労働条件を定めるものなので、いずれも間違いです。
3は、就業規則は常に労働契約に優先して適用されるものではなく、4は、労働協約の不利益変更にあたっては条文上合理性が必要とされないので、いずれも間違いです。
- Q11社会保険•労働保険の保険料について、正しいものをすべて選びなさい。
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- 健康保険の保険料は労使双方で負担する。
- 労災保険の保険料は事業主が全額負担する。
- 厚生年金保険の保険料は賃金から控除される。
- 雇用保険の保険料は賃金総額をもとに算定される。
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正解は1~4すべて、正解率は44%でした。〔1•2•3=29%、1•2•4=8%など〕
健康保険法161条にあるように、被保険者(労働者)と、被保険者を使用する事業主とは、それぞれ健康保険の保険料額の2分の1を負担します。厚生年金保険法82条も同様です。
事業主は、労働保険徴収法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律)15条及び 19条に基づき、労災保険の保険料を全額負担します。
厚生年金保険の保険料は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合、被保険者の負担すべき保険料を報酬から控除することができます(厚年法84条。健保法167条も同様です。)。労働基準法24条に定める全額払いの原則について、法令に別段の定めを設けて例外を定めるものです。
労災保険及び雇用保険の保険料については、賃金総額に保険料率を乗じて得た額とされています(労働保険徴収法11条)。
以上から、正解は1~4すべてということになります。
- Q24不動産販売業者のA社長が、勤務成績の悪い社員の処遇について、B部長と会話をしています。B部長の次の発言のうち、法的に最も誤っているものをひとつ選びなさい。
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- A社長「中央支店のCさん、やっぱり勤務成績が改善されないようなんだ。2年連続最下位なんだけど、要領も悪いようで、支店長も困っていて、辞めてもらいたいというのが本心らしい。新卒で2年目なんだけどな。退職勧奨や、それでだめなら解雇できないか、と昨日相談に来ていたんだ。支店長は、何度も時間をかけて説得すれば、Cさんも退職するんじゃないか、と考えているようなんだが。」合意解約に向けて誘引すること、とされます。ただ、支店長が執拗に退職勧奨をし続けると、違法なものとして慰謝料請求される可能性もありますので、Cさんに退職の意思がないのであれば、退職勧奨はやめたほうがよいと思います。」
- A社長「解雇も考えなきゃならないということか。解雇は簡単にはできないんだろう?」
- B部長㋑「解雇権濫用法理が、解雇を制限していますからね。解雇事由が客観的に合理的な理由といえるか否か、解雇が社会通念上相当であるか否か、という2つの異なる視点から、解雇の有効性が判断されます。」
- A社長「Cさんの解雇はやはり難しいということか。」
- B部長㋒「勤務成績が著しく低いこと、複数の部署の業務を経験させたり、教育訓練や研修を行ったりして改善の機会を与えていたという事情がないと、解雇事由が客観的に合理的であるとはいえないと思います。」
- A社長「勤務成績が悪いといえば、3か月前に中途採用した東支店のDさん、同業他社での経験があるなんて言うから即戦力として採用したのに、給料だけ高くて全然戦力にならないらしいんだよな。勤務成績がやはり悪くて、東支店の売上に全然貢献できていないし、「前職とはやり方が違う」とか何とか言い訳ばかりして、改善しようともしないみたいだ。Dさんも、解雇は難しいのか。」
- B部長㋓「そうですね、即戦力の中途採用者も、新卒者と変わらず労働者として保護されるべき立場にあるので、新卒者と同様に、配置換えや教育訓練や研修を行って勤務成績を改善する機会を与えないと、解雇に客観的に合理的な理由があるとされることはないです。」
- 発言㋐
- 発言㋑
- 発言㋒
- 発言㋓
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正解(誤っているもの)は4、正解率は49%でした。〔1=28%、2=19%。3= 4%〕
いわゆるリストラに伴うワークルールを確認する問題です。
発言㋐は、退職勧奨の法的性質と、退職勧奨が不法行為となる場面について述べたものであり、正しいです。発言㋑は、労働契約法16条に記載されている解雇権濫用法理について述べたものであり、正しいです。発言㋒は、労働者の労働能力が低い場合の解雇理由が合理的といえるための事情について述べたものであり、正しいです。
発言㋓は、中途採用者の労働能力が低い場面について述べたものです。地位や職種を特定して労働者を中途採用したのに、想定されていた労働能力、適格性を有していなかった場合、裁判例は、合理的な理由の有無を緩やかに判断する傾向にあります。具体的には、新卒者と同様の改善の機会までは付与しなくてもよいという判断がありますので、この発言㋓が法的に最も誤っているものといえます。