WR検 ワークルール検定

検定結果・受検データ

中 級

合格発表(中級:2023年6月)

正解発表(中級:2023年6月)

解 答

Q1 2;3;4 Q2 4 Q3 1;4 Q4 3 Q5 1 Q6 2 Q7 1;3 Q8 4 Q9 1;2;3;4 Q10 4 Q11 2;4 Q12 4 Q13 3 Q14 2 Q15 3 Q16 4 Q17 2 Q18 4 Q19 3 Q20 3 Q21 2 Q22 3 Q23 3 Q24 4 Q25 4 Q26 4※ Q27 3 Q28 3 Q29 1 Q30 4

解 説

2023年6月11日に実施した中級検定において、正答率が低かった問題について以下のとおり解説します。
今後の学習の参考としてください。

Q3労36協定について、正しいものをすべて選びなさい。
  1. 使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合が存在するときは、その労働組合と36協定を締結しなければならず、事業場の労働者の過半数の支持を得た過半数代表者との間で36協定を締結しても当該協定は無効となる。
  2. 36協定を締結すると、使用者は、週40時間、1日8時間を超えて労働者を労働させることができ、36協定に特別条項を設けておけば、労働時間の延長の制限を受けることはない。
  3. 36協定は、所轄労働基準監督署に届出をしておけば、事業場内で周知する必要はない。
  4. 使用者が、労働者に時間外・休日労働を命じるには、36協定の締結と届出に加えて、就業規則等に時間外労働義務の根拠規定を置くなどして契約上も時間外・休日労働義務を設定しておく必要がある。
正解は1・4、正解率は41%でした。〔4=34%、2・4=10%など〕
かつては、36協定で延長できる時間外労働時間数については、告示で限度時間が1か月45時間、1年360時間等と定められていました(平成10年労告第154号。限度基準)。しかし、限度基準には違反しても罰則はなく、「特別条項付き36協定」(特別条項)を結ぶことで限度時間を超えることが許容されていたため、特別条項を濫用的に利用すると、上限なく時間外労働をさせることが可能となっていました。そこで、働き方改革関連法による労基法36条の改正では、時間外労働の上限規制を全面的に見直し、労使協定(36協定)による時間外・休日労働について罰則付きで時間外労働の上限規制を設定したほか、協定事項を整理・追加して法律の本則に列挙する改正を行っています(改正労基法36条2項)。したがって、選択肢2は誤りです。選択肢3は、労基法106条1項が法令等の周知義務を課しており、その中には36協定も含まれています(中級テキスト巻末の条文も確認してみてください。)。
Q08ユニオンショップ協定(ユシ協定)について、正しいものをひとつ選びなさい。
  1. 組合併存状態ではユシ協定を締結できない。
  2. 組合からの除名が無効であってもユシ協定に基づく解雇は許される。
  3. 過半数代表組合からの要求があれば必ずユシ協定を締結しなければならない。
  4. ユシ協定締結組合に加入しなければ解雇されると使用者が発言することは許される。
正解は4、正解率は36%でした。〔1=23%、2=14%、3=26%〕
1・3を選んだ方がやや多かったようです。ユニオンショップ協定は、使用者と、従業員の過半数を代表する労働組合との間で締結されます(労組法7条1号ただし書)。これを過半数代表組合に限定したのは、少数組合との協定によって従業員に対して組合加入を強制することは、従業員全体の意向を適切に反映していないから、と説明されます。組合併存状態であっても、ある労働組合が従業員の過半数を組織しているのであれば、ユニオンショップ協定を締結することができますので、選択肢1は誤りです。
労働組合が組合員を除名した場合、使用者には、ユニオンショップ協定に基づく解雇義務が発生しますが、その除名が無効ならば、解雇義務も発生しないこととなりますので、解雇は無効となります(日本食塩製造事件・最二小判昭和50.4.25)。よって、選択肢2も誤りです。
ユニオンショップ協定は、労使間の合意に基づくものであり、過半数代表組合からの要求があったとしても、使用者に締結義務が生じるわけではありません。よって、選択肢3も誤りです。
選択肢4の「ユシ協定締結組合に加入しなければ解雇される」という発言の内容自体は、ユニオンショップ制度の原則を説明しているに過ぎませんので、許されるといえます。よって、選択肢4が正解となります。ただし、仮に組合員が協定締結組合を脱退したり除名されたりしたとしても、その後別組合に加入するか、新たな別組合を組織した場合、その別組合にはユニオンショップ協定の効力が及ばないので、解雇義務も発生しない点には注意が必要です(三井倉庫交運事件・最一小判平成1.12.21など)。
Q09労働協約と就業規則の法的性格の異同について、誤っているものをすべて選びなさい。
  1. 労働協約も就業規則も、労働組合との合意に基づく。
  2. 労働協約も就業規則も、全従業員の労働条件を定めている。
  3. 労働協約も就業規則も、労働契約に優先して適用される。
  4. 労働協約も就業規則も、その不利益変更について合理性が必要である。
正解は1・2・3・4、正解率は29%でした。〔1・2・3=25%、1・2=13%など〕
労働協約と就業規則に関する理解を問う問題でした。選択肢それぞれについて正確な知識が求められています。
労働協約は、労働組合と使用者との間の労働条件等に関する合意に基づきますが、就業規則は、基本的に使用者が一方的に作成するものです。選択肢1は誤りです。
労働協約は、原則として労働協約を締結した労働組合に加入している組合員全員に適用され、それ以外の者にその効力は及びません。選択肢2も誤りです。
就業規則が労働契約よりも有利な場合には、就業規則の内容が優先して適用されますが、労働契約の内容が就業規則より有利な場合には、労働契約が適用されます。選択肢3も誤りです。
労働協約は労使で合意するものですので、労働協約で何を定めるかは、原則として当事者の自由です(協約自治の原則)。不利益変更の場合にも、合理性審査はなされないと解されています。したがって、選択肢4も誤りです。
Q11団体交渉のあり方について、正しいものをすべて選びなさい。
  1. 使用者が要求内容に応じられない場合には、団体交渉を拒否できる。
  2. 使用者は、団体交渉の場所及び日程について、組合の意向に配慮しなければならない。
  3. 使用者は、人事情報を開示する必要はない。
  4. 団体交渉の出席者に従業員以外の者が含まれていても、使用者は団体交渉を拒否できない。
正解は2・4、正解率は41%でした。〔2・3・4=18%、2・3=16%など〕
使用者が要求内容に応じられない場合であっても、団体交渉を直ちに拒否できるわけではありません。要求内容に応じられないことを団体交渉の場で説明を行うことが求められます。選択肢1は誤りです。
団体交渉の場所及び日程について、使用者は、組合の意向に配慮し、労使で決めていくことが求められます。選択肢2は正しいです。
使用者は、人事に関して団体交渉事項になっている場合には、必要に応じて人事情報を開示する必要があります。選択肢3は誤りです。
労働組合の代理人や上部団体など、団体交渉の出席者に従業員以外の者が出席することがあります。団体交渉の出席者に従業員以外の者が含まれていても、使用者は、それを理由に団体交渉を拒否することはできません。選択肢4は正しいです。
Q16休業・休暇について、誤っているものをひとつ選びなさい。
  1. 労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。
  2. 使用者は、6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
  3. 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、年5日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。
  4. 使用者は、産後8週間を経過しない女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
正解は4、正解率は33%でした。〔1=12%、2=9%、3=46%〕
選択肢1・3は、育児介護休業法に関連する問題です。多くの人が、選択肢3の看護休暇を誤っているものと選択していました。
育児介護休業法16条の2は、小学校就学前の子どもを養育する労働者は、事業主に申し出ることによって、年5日(時間単位、小学校就学前の子どもが2人以上の場合には10日)の看護休暇を取得することができると定めています。要介護状態にある家族の介護のための介護休暇についても同様に、年5日(時間単位、要介護状態にある家族が2人以上の場合には10日)取得できると定めています(育児介護休業法16条の5)。
選択肢2・4は、産前産後休業に関する問題です。労働基準法65条によれば、産前休業は、産前6週間以内に出産を予定する女性が使用者に休業を請求した場合、使用者はその者を就業させてはなりません。これに対し、産後の場合は、女性からの請求に関わりなく、就業させてはいけません。産後6週間を経過した女性が請求した場合に、医師が支障がないと認めた業務に限り、就業させることができるとされています。
したがって、これらの休業・休暇について誤っているものは、選択肢4ということになります。

お わ び
Q26育児・介護休業についての学生らの会話を読んで、学生らの発言のうち、誤っているものをひとつ選びなさい。
  • 学生A近時の法改正で、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設等が行われたね。これに伴い、従来は、育児休業は、子1人につき原則として1回だけ取得することができるという規定だったけど、子1人につき2回に分割して取得することができるようになったね。
  • 学生Bそうだね。育児休業を取得しやすい雇用環境の整備や労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付けも重要だね。事業主には、育児休業取得促進のため、①研修の実施、②相談窓口の設置、③自社の労働者の取得事例の収集・提供、④制度と休業取得促進に関する方針の周知、のいずれかの措置をとる義務が課されたね。
  • 学生C介護離職を防ぐことも重要な課題だね。従来、介護休業は、通算93日の範囲内で、対象家族1人について要介護状態ごとに原則1回に限り取得可能だったけれど、法改正により、対象家族1人について要介護状態ごとに通算93日まで、3回を上限として取得することができることになったよ。
  • 学生Dその一方で、事業主には、休業期間中の賃金を支払う義務はないよね。介護休業を取得する労働者には国からの給付金も支給されないから、所得保障対策が全くなされていないという点が、介護離職防止の課題といえるね。
  1. 学生Aの発言
  2. 学生Bの発言
  3. 学生Cの発言
  4. 学生Dの発言
本問は、学生Dの発言のうち、「介護休業を取得する労働者には国からの給付金も支給されない」という点が明らかな誤りであり(雇用保険制度のもとで、休業開始前賃金の67%が介護休業給付として支給される。)、選択肢4を正解(誤っているもの)として導く意図で出題しました。
しかし、学生Cが平成29年1月1日改正施行の育児介護休業法の内容を紹介する発言の中で、本来であれば、法改正により「要介護状態ごとに」という要件が削除されたため、「対象家族1人について通算93日まで、3回を上限として取得することができることになった」とすべきところを、「要介護状態ごとに」という文言が残ったままになっておりました。この点は誤りですので、選択肢3も正解(誤っているもの)となり、正解が2つ存在することとなりました。
本問については出題ミスですので、お詫びして訂正いたしますとともに、選択肢3を選択された方も正解扱いとして合否を判定することといたします。
今後このようなことがないよう、再発防止に努めてまいります。